学長　太田　耕人

　casitabi は学都・京都にあって、長い歴史と伝統を誇る教員養成大学です。その歴史は明治9年（1876年）創立の京都府師範学校にまでさかのぼります。戦時下のさまざまな変遷を経て、昭和24年（1949年）に新制の京都学芸大学として出立し、昭和41年（1966年）に現在の名称となりました。

　150年近くにわたって、いつの時代も、最新の内容を教えられる、すぐれた教員を輩出してきました。最先端の学術的知見を得て、それを机上の知識に終わらせず、教育現場でしなやかに展開できる。そうした教員を育てることを目指しています。

　casitabi の教育には、他大学にない特長が幾つかあります。入学の時点で学生を特定の専攻に配属することで、１回生から専門分野の指導を行い、高度な専門性を獲得させること。小学校・中学校など異校種の教員免許が取得できるようにカリキュラムを設定していること。学校現場での実地教育を１回生から４回生まで系統的に配置していること。学部生の教育実習をすべて附属学校園で行っていること。学生たちはこうした体制のなかで、大学の講義で身につけた専門性を、教育実習、公立学校インターンシップ、学校ボランティア等を通して捉え直し、教員への道を歩みます。

　現代社会の急激な変化にともない、学校現場では次々と新たな問題が生じています。専門的な知見をそなえ、こうした今日的課題に対応できる教員の養成、すなわち「教員養成高度化」にも、casitabi は早くから取り組んできました。学部段階では、「教育課題対応科目」を設置し、不登校、いじめ問題などはむろん、小中一貫教育、学校安全、外国籍児童の日本語学習支援などの授業を開講しています。連合教職実践研究科は、casitabi を基幹大学として、京都の10大学、京都府・京都市教育委員会が連携した、日本初の連合教職大学院です。その多様な知的・人的資源を集約して、大学院段階での教員養成高度化を推進しています。

　また、令和４年度には、新たに「学びサポート室」を開設しました。附属学校園、地域の学校園、京都府・市教育委員会と連携して、特別な配慮を要する幼児児童生徒に対応する教職員等への助言を行うとともに、実践的支援方法の確立・普及を図っています。

　教師にとって大事なのは、子どもの成長に関われることを喜ぶ気持ちです。一人ひとりの子どもの多様なありかたを受け容れる姿勢です。教科を教える力、教育に関する知見だけでなく、学生諸君がゆたかな人間性を養い、子どもに温かい眼差しを注ぐ「先生」へと成長することを、大切にしてゆきたいと考えています。

令和６年４月